葉酸は赤ちゃんの先天性異常の確率を下げる効果があり、妊婦のビタミンと言われています。妊活中、または妊娠中の方で、サプリメントを服用されている方も多いのではないでしょうか?
最近はファッション雑誌などでも葉酸サプリメントが頻繁に取り上げられるようになり、その重要性が浸透してきていますが、副作用やデメリットに触れられることはほとんどありません。
ここでは、葉酸摂取による副作用やデメリットは存在するのか?についてご説明していきます。
副作用はあるの?
まず結論から言うと、葉酸は水溶性ビタミンという栄養素の一種であり医薬品ではないため、副作用はありません。
葉酸サプリメントは食事によって十分に摂りきれない栄養素を補うための補助食品(いわゆる”健康食品”)の位置付けです。
ただし、どんな栄養素でも極端に摂りすぎた場合にはデメリットがあるものです。葉酸においても過剰摂取による影響事例はいくつか報告されていますので、ご紹介していきます。
葉酸の摂取量上限と推奨摂取量
厚生労働省は葉酸摂取量の上限を1日あたり1,000μgとしています。
一方、推奨される摂取量は以下のとおりです。上限である1,000μgに到るまでには余裕があることが分かります。
- 通常: 240μg
- 妊活中~妊娠初期(3カ月):
240μg+400μg= 640μg - 妊娠中(4カ月以降):
240μg+240μg= 480μg - 授乳中:
240μg+100μg= 340μg
- 通常: 240μg
過剰摂取による影響とは?
葉酸を過剰に摂取した場合、
・発熱
・じんましん
などの症状が出る可能性があるとされています。
また、1998年~2005年にかけ、約500人の赤ちゃんを追跡したオーストラリアの調査によると、妊娠後期(30~34週)に葉酸サプリを毎日1,000μg摂ると、生まれた子供にぜんそくが発症するリスクが高まったという報告があります。
一方で、関連を否定する研究も複数発表されており、葉酸サプリとぜんそく の関連ははっきりしないという結果も出ています。葉酸サプリと一言で言っても、通常のサプリメントには補助栄養素も複数含まれており、それらの過剰摂取による影響とも考えることができるためです。
葉酸を摂りすぎないためには?
まず、食べ物から葉酸を摂る場合において、過剰摂取を心配する必要はありません。
食べ物から葉酸を摂取しても、実際に消化吸収されて身体で働くのは約50%に留まります。頑張って野菜を食べても摂取上限である1,000μgに届くことはまず不可能と言っていいでしょう。
また、葉酸は水溶性ビタミンであるため、一時的に必要量以上の葉酸を摂取したとしても、すぐに尿中へ排出されます。
つまり、葉酸サプリメントを意識的に過剰に(決められた用量を越えて)服用し続けない限りは、「葉酸の過剰摂取」という状態を作ることはできません。
このため、あまり上限に神経質になることなく、葉酸を意識したバランスの良い食事、および用量用法を守ったサプリメントの活用をおすすめします。
特に妊娠初期には、葉酸の摂り過ぎよりも、葉酸不足を気を付けた方が良いでしょう。
食事から摂取する場合の注意
できるだけ自然に、食事から多くの葉酸を摂取したいと考えられる方も多いと思います。
ただし、葉酸を多く含む食品を積極的に取り入れる場合に注意したいのは『ビタミンAの摂りすぎ』です。
レバー類には葉酸が多く含まれますが、同時にビタミンAも多く含まれています。妊婦がビタミンAを過剰摂取すると赤ちゃんの奇形発生リスクが高まります。ビタミンAは葉酸とは異なり、水に溶けにくい「脂溶性ビタミン」と言って、体内に蓄積してしまう特性があります。葉酸がたくさん含まれているからといって日常的にレバーを大量に摂取することは避けたほうが良いでしょう。
また、レバーに限らず、食事だけから葉酸の必要量を摂取しようとすると、どうしても特定の食材ばかりになってしまったり、栄養バランスが崩れてしまったりすることも考えられます。葉酸の摂取においては、サプリメントを賢く活用することが鍵となります。
サプリメント活用時の注意
サプリメントに含まれる葉酸は「モノグルタミン酸型」と呼ばれる合成葉酸であり、食べ物から摂取できる天然葉酸とは異なり、葉酸含有量のほぼ100%が効率よく体内に吸収されます。
ですので、葉酸サプリは規定の使用量を守らなければ葉酸の摂りすぎになってしまう可能性があるのでご注意ください。
とはいえ葉酸の過剰摂取分は尿として体外に排出されますので、継続して2、3倍の量を飲んだり、2,3種類の葉酸サプリを同時に飲んだりする、などの誤った用法をしないかぎり、摂りすぎの心配をする必要はありません。
まとめ
葉酸の副作用は報告されていませんが、過剰摂取による影響事例はいくつか報告されています。
通常の食事から葉酸を摂取する場合においては摂りすぎることはほぼ不可能ですので、過剰摂取を心配する必要はありません。
一方、葉酸サプリを摂取する場合は、用量用法を守ることが大切です。
なお、葉酸は水溶性ビタミンであり、一時的な過剰分はすぐに尿に排出されます。このため、あまり上限に神経質になることなく、葉酸を意識したバランスの良い食事、および用量用法を守ったサプリメントの活用をおすすめします。
特に妊娠初期には、葉酸の摂り過ぎよりも、葉酸不足を気を付けた方が良いでしょう。